闘病する女性を支えたい
「再現美容」 脱毛後も、これまで通りの自然なヘアスタイルを提供
抗がん剤の副作用の中で、患者さんにとって一番大きな問題である「脱毛」。
「周りの人から『変わったね』と思われたくない」という患者さんの声に答えて生まれたのが、NPO法人日本ヘアエピテーゼ協会の医療用ウィッグ「ヘアエピテーゼ」を使った「再現美容」です。
これまでのヘアスタイルを再現する「再現美容」について、NPO法人日本ヘアエピテーゼ協会で広報を務める、河野こずえさんに詳しくうかがいました。
分け目や毛の流れも自由に再現できるウィッグ
「みなさん、美容院に行くときは、もっとキレイになりたいと思って行きますよね。でも再現美容では『もとの自分に戻してあげる』のが、第一の目的なんです」と話してくれたのはNPO法人日本ヘアエピテーゼ協会の広報、河野こずえさん。
「再現美容」とは、その名前の通り、脱毛前のご自身のヘアスタイルを、医療用ウィッグ「ヘアエピテーゼ」を使って再現するものです。
通常のウィッグは、すでにヘアスタイルが決まっていますので、カットして長さを微調整することは可能ですが、分け目や毛の流れの向きを変えることはできません。一方、ヘアエピテーゼは、熟練した職人が2ヶ月間かけて、1本ずつ手作業で植えて制作しているウィッグです。
頭頂部には素肌に近いシルクスキンを使用するため、分け目も自由に再現でき、まるで自分の髪のように、自然に様々なヘアスタイルを作ることができるそうです。
またヘアエピテーゼは、髪と同じ成分のタンパク質を配合したポリエステルの人工毛を人毛にミックスして作られていますが、表面に細かな凹凸をつけてあるため、ウィッグとは思えないようなマットで太陽光の下でも自然な質感を表現することが可能だといいます。
さらにNPO法人日本ヘアエピテーゼ協会では、ヘアエピテーゼを使って、脱毛前のスタイル、もしくはご希望のスタイルを作り上げる再現美容師の認定制度を運営しており、その1つが「かつらの学校」です。
美容師資格を持つ人に向けたもので、ウィッグのカットの仕方などの技術面に加え、抗がん剤治療を受けた人の脱毛の実態や、精神面なども含めた12時間のカリキュラムです。「かつらの学校」を修了してから、1年間は準再現美容師として経験を積んだ後、再現美容師の認定資格を得ることができます。
「美容院でカットできるウィッグ」が開発の原点
再現美容が誕生したのは、広報の河野こずえさんご自身が2003年、乳がんになり、抗がん剤治療によって脱毛をしたのがきっかけでした。
「当時は良いウィッグが見つからなくて、外に出るのが嫌になってしまい、引きこもっていました。そんな時、『美容院でカットできるウィッグはないだろうか』と思いついたんです。以前、私も夫(NPO法人日本ヘアエピテーゼ協会・河野愛一郎会長)も出版社でファッションや美容の仕事をしていたものですから、美容業界や繊維メーカーとのつながりを活かしてヘアエピテーゼと再現美容の開発・活動を始めました」(広報・河野こずえさん)
現在、認定再現美容師がいるサロンは全国にあり、制作後もサイズ調整やスタイル調整、スタイルチェンジやメンテナンスなど1年間無料でサポートしてくれます。料金はウィッグ制作代(1年間のサポート付き)と治療前後の自髪カット各1回を含めて、12万円(税別)です。
NPO法人 日本ヘアエピテーゼ協会 報道資料